指宿の眼鏡屋、メガネのハッピーワンの高田です。
眼科医さんや眼鏡業界では「早ければ早いほど慣れやすい」と意見が一致していのですが
遠近両用眼鏡に対するイメージがミドル世代への普及を邪魔している気がします。
今回は、遠近両用メガネに変えるタイミングと
後悔したり失敗しない為の情報を紹介します。
目次
必要な調節力が時代で変わった
書類仕事や本を読むだけ(眼前40cm)の時代なら、60歳過ぎてからでも問題ありませんでした。
今は、スマホが登場し眼前20㎝の距離で物を見ないといけないんです。
40cmと20cmの差、たった20cmだと思いますが…
目の調節力で考えると約20年分の変化に相当します。恐ろしい。
ちなみに眼前20㎝がハッキリ見えるのは、正視の人でだいたい35歳過ぎまでです。
気付いてない人も多く、
「新しいスマホは高画質が売りなのに高画質じゃない、前の方が良かった」
「写真撮って画面で確認したら全部ボケてる…故障か?」
みたいなことが実際あります。
近用度数を合わせてスマホの画面見てもらったら、感動してた人もいました。
なので、年配の人がかけるイメージがあっても
イメージより20年早いくらいの年齢で遠近を作るとちょうど良かったりします。
面倒になったら作る時
近視の人なら、メガネ外せば近く見えるし
遠視や正視の人なら、近用メガネかければ近く見えるし
この必要に応じて、メガネをズラす作業
これが、ある時ふと気づくんです。
「めんどうだな…1本で遠くも近くも見れたら楽だな…」って
この気付きが重要です
あとは、四十肩や五十肩で腕が上げにくくなった時とかですね。
①近くを見ないといけない時代の変化
②「1本で近くも遠くも済ませられたら…」の気付き
この2つが重なるときが、だいたい
50歳前後です。
若いころ視力がものすごい良かった人は、45歳くらいに早まります。
失敗しない為に必要な4項目
1.初めてに適した、度数・フレーム・レンズ
①度数
普段使いの眼鏡(近視矯正、遠視矯正)を使っていたら、それに近い度数を再検査していれます。
ただ、初めての場合は注意が必要です。
見えるだけの眼鏡なら、機械で出た数値を入れ込むだけでいいのですが
「使いやすい」眼鏡を作るならあなたの性格や使い方が重要になってきます。
たとえば、同じ視力1.0に合わせたとしても
「見え過ぎて気分が悪い」
「見えなさ過ぎて怖い」
とまったく反対の事を聞くことがあります。
なので、脳がどのように映像を処理してきていたか?という
過去の見え方と差が出過ぎないように調整する必要があります。
②レンズ
非球面や両面非球面、色々あります。
歪みが少ない!を売りにしているレンズがありますが、
かなり高額になるので私はあまり勧めていません。
歪みが気になる人達の多くは、斜め下や横を見た時の事を話されます。
高額な歪みをとるレンズ達の多くは、斜め上の歪みにのみ対応しています。
なので、斜め下や真横はどうしても歪んでしまいます。
③フレーム
たまにですが、天地幅(フレームの上下幅)がかなり狭いものに
無理矢理、遠近両用レンズを入れている方がいますが…
あんまりいいことありません。メリットはレンズが小さい分軽くなるかな?くらいです。
遠くを見る場所は狭くなって、
近くを見る場所も狭くなって
中途半端で使いにくくなります。
最低30㎜は欲しいですが、初めての人なら33㎜以上あった方が安心して使えます。
2.目の使い方・動かし方のクセで、慣れ具合を予測
両目でどのように見ているかの確認をしていきます。
いわゆる両眼視検査です。
両目で見た方が見やすいのか?
片目で見た方が見やすいのか?
人それぞれで違いますからね、レンズの微調整をしながら仕上げていきます。
そして、意外と見落とされがちなのが
「目の筋肉」「肩・首の筋肉」の動かし方のクセです。
右目を内側に寄せるのは上手だけど、左目を内側に寄せるのは苦手
→右手でスマホ持って画面を見ると、斜めに見えて使いにくい
物を見るときに、グッと首を硬くするクセのある人
→目線だけで周囲を見たりするので、歪みに敏感、慣れにくい
などなど本当に色々な体の使い方があります。
なので、度数が完璧でも目・首・肩の連結をおろそかにすると
本来のレンズの力を発揮できないことがあります。
あと、瞳孔の収縮具合や大きさによって
乱視の影響度や50歳以降では夕方以降の見えやすさが変わってくるので
度数を下げ過ぎないようにする必要があります。
3.加工方法と調整方法
①加工
多くの店は、丸形や楕円のレンズが届いた後、店舗の機械でフレームの形に加工します。
小さくし過ぎるとフレームからスポスポ抜けて
ポロっと外れてしまうのでピッタリ~少し大きめに加工されます。
ここで1つ大きな問題が…
機械でレンズをカットして、鋭利な部分を丸く削って、そのままフレームに入れると…
ピッタリ入るんです。
入るんですが…
レンズがピッタリ過ぎて歪んでしまいます。
肉眼では歪みは見えないのですが
暑い日や熱源の前に立つと、レンズは膨張するので
尚更きつくなり歪みがひどくなります。
歪みがひどくなると乱視に影響が出てきたりします。
なので、うちでは歪み測定器で都度確認しながら
入れては削って
入れては削ってを繰り返し
目に見えない歪みが付きにくいようにしています。
②調整
遠近メガネは調整が重要です。
上の方に遠く用レンズ
下の方に近く用レンズが入っているのですが、
下の方のレンズと目の距離が遠くなってしまうと
見える範囲が狭くなり、歪みが大きく見えてしまうので
頬に当たらない程度に近づけた方が見やすくなります。
4.当店の保証について
単焦点という遠く用だけ、近く用だけのレンズとは違い
レンズそのものの値段が高くなります。
なので、二の足を踏んでしまう方が多いのですが
うちでは保証をつけるようにしています。
遠近両用でどうしても慣れない気分が悪くなる場合、
購入いただいたフレームに遠く用レンズ+
指定のフレームなら無料でもしくは、店舗内セット価格の半額で
近用レンズ入りの眼鏡を作成致します。
5.まとめ
「遠近にするにはまだ早いな…」って思っていても
スマホを使う機会があるなら、全然早くないです。
調節力だけで考えると70歳で掛け始めていた人なら
今では50歳くらいでかけるのがちょうどよくなっています。
それほど、本や書類の40㎝とスマホの20㎝の差は大きいです。
きっかけとして一番多いのは
眼鏡のつけ外しが面倒になったタイミングです。
「お店で老眼鏡で値札を見て、カバンに直したら万引きに間違えられた」と悲しみと怒りで
遠近両用を作りに来られた方もいらっしゃいます。
遠近両用メガネの体験もできるので、
「遠近の体験をしてみたいんですが」と声をかけてくださいね。